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2004年4月19日 (月)

『同時代を生きて ―忘れえぬ人びと―』 瀬戸内寂聴 ドナルド・キーン 鶴見俊輔

0241560800001.jpg あらゆる意味でものすごい鼎談です。3人とも大正11年(1922年)生まれ。鼎談当時、81歳!! この3人の巨人が、しゃべる、しゃべる。

章立てとしては
 Ⅰ 老いを生きる――文学の可能性
 Ⅱ 同時代の人びと――思い出すこと
 Ⅲ 伝統について考える

鶴見氏が6~7割しゃべっています。変幻自在、大きな枠組みから語る。それを瀬戸内氏が個人的レベルの話として受け止めて、バランスよく答える。キーン氏はほとんど語らずに聞いているばかり。たまに、非常に謙虚に、しかし本質的な発言をする。

テープ起こしを職業としている私からしたら、これは非常に大変な仕事だったに違いないと断言できる。起こす人も大変だったけれど、これを編集して、読める形にまとめた方は、もっと大変だったに違いないと、これも断言できる。

まとめることなどハナから無理だけれど、印象に残ったことを列記してみる。

★歴史的なことで言うと、大逆事件の重要性。(『日本文学盛衰史』の項で言及した『坊っちゃんの時代』にも同様の見解あり)
★明治天皇や大正天皇の人間性。
★共通の友人としての元文部大臣永井道雄と、元中央公論社長の嶋中鵬二の意外な顔(私のこれまでの受け止め方と違う顔が語られていた)
★佐多稲子と瀬戸内寂聴の関係(今、佐多稲子の「時に佇つ」を読んでいる最中。次に「夏の栞」を読むつもりなので興味あり)
★川端康成・三島由紀夫とノーベル賞

などなど、興味の尽きない切り口が満載。鼎談だからこそ出てきたと思われる話もあって、書かれたものと違う良さが光るすばらしい一冊。とにかくテーマが尽きず、話し好きの鶴見氏と、瀬戸内氏の聞き上手ぶりと、キーン氏のその場に流されない地に足のついたつつましさとが、うまくミックスされた絶妙の鼎談であった。

同時代を生きて―忘れえぬ人びと―』   瀬戸内寂聴 ドナルド・キーン 鶴見俊輔  岩波書店  2004年発行

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コメント

「戦争が遺したもの」を読んだので、この鼎談集も読もうと、
図書館にリクエストしているのです。
しかし、「戦争が~」では小熊、上野、鶴見さんと、
みんな編集の経験があるので、濃密な空間を維持するために、
版元の編集員は同席せず、あとで、もっぱら、小熊さんがテープ起こしとか、やったみたいですが、テープ起こしは原則として同席した編集の方がおやりになるのですか?
それとも、外注で、それ専門の方がおやりになるのですか?
そのあたりの舞台裏にちょいと、興味がわきました。

投稿: 栗山光司 | 2004年4月19日 (月) 20:41

栗山さん、次々お読みになっていますね。
『文明の内なる衝突』もお忘れなきよう(笑)。

鶴見さんの対談集二つ、どっちもそのうち読書会で取り上げたいです。その前に小説かな。「猫」?

すみません、とよきちさん、リンクしていただいてたんですね、ありがとうございます。こちらからもお奨めBlogに入れさせて頂きました。

最近はテープ起こしもいろんな機械が発達してやりやすくなったんじゃないですか? よくは存じませんが。これも大変な仕事ですね。わたしは何度かやったことがありますが、これを生業にしたいとは思いませんでした。

投稿: pipi | 2004年4月19日 (月) 21:28

テープ起こしは編集の方が責任を持つのが一般的で、その方が録音したものを外注することが多いと思います。特に週刊誌や雑誌などは、とりあえず録音して外注。外注先は、個人的に信頼している人に出す場合もあれば、テープ起こし専門会社もあるし、あるいはSOHOのようなところに出す場合も。

機械の発達がテープ起こしに貢献しているのは専らデータのやりとりの部分だけで、基本は「耳で聞き」「文字化」するという極めてアナログな作業です。(笑)

話は変わりますが、小熊英二さんは、偶然ですが、私と同じ高校で一年若い学年だということが、先日、同学年のMLの中で話題になったのでした。大佛次郎賞を受賞したりされて、話題になった後のことです。(私は面識はありませんが)(^^ゞ

読書会、とても刺激的ですね~。報告を読ませていただくのを楽しみにしています。

pipi姫さん、リンクは、コメントをいただいた直後に張らせていただいたんですー。こういう出会いはとても嬉しいです。栗山さんの書き込みがきっかけですね。ありがとうございます。

投稿: とみきち | 2004年4月19日 (月) 21:46

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