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2004年4月20日 (火)

『同時代を生きて』 その2

0241560800001.jpg さまざまな話題の中で、そうそう、この話、もっとよく知っていたら面白いのよねと思った話。それは、武田泰淳・百合子夫妻と埴谷雄高の関係。有名な話だけれど。

瀬戸内  だけど、埴谷さんが亡くなる前、もう亡くなるとわかった頃にうかがったことがあるんです。そのときには元気で、起きあがってきてハラハラするほど話すんですけど、あの世へいく話ばかりするんですよ。だから私、「先生、あの世へいったら百合子さんがいるじゃないですか」って言ったんですよ。百合子さんはもう亡くなってたから。そしたら、「おう、そうだ。百合子さんがいる」って(笑)。急に、えらい元気になっちゃった。「あの世であったら、ぱっと抱きしめて離さないぞ」って。

武田百合子という人は非常に魅力のある人だったらしい。本人も泰淳の死後、『富士日記』(上・中・下)三部作を代表として、非常にいい文章を残している。そして、私のお気に入りは、村松友視の『百合子さんは何色』。(ちくま文庫からも出ているが、両方とも絶版か?)村松は、雑誌「海」の編集者として、『富士』執筆中の泰淳を担当したところからの縁なのである。本書は、泰淳の葬儀委員長としての埴谷の弔辞の紹介から始まっているが、全編を通じて泰淳の最大の理解者としての埴谷の姿が余すところなく書かれている。

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『同時代を生きて』の中には、思想的・社会的な卓見も多く含まれているが、どうしてもこういう文学者たちの話に興味が向いてしまう。私自身の素質として仕方ないのかなと思うのだが・・・。

同時代を生きて―忘れえぬ人びと―』  瀬戸内寂聴 ドナルド・キーン 鶴見俊輔  岩波書店  2004年発行

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