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2004年4月 7日 (水)

『日本文学盛衰史』 高橋源一郎

0203248700001.jpg まだ読み始めたばかりの本について、ルール(自分で決めただけのもの)を犯してちょっと書き込み。

本書には、いきなり石川啄木が登場する。史実に基づきつつも、啄木を、伝言ダイヤルのヘビーユーザーに設定し、109で待ち合わせた女の子とエンコーさせる設定にしたり、高橋源一郎やりたい放題。ただ、私がいきなり書き込みしたくなったのには理由がある。この石川啄木像は私には非常になじみのあるもので、それには下記の2冊が大きく貢献している。そのことを書いておかなくてはと思ったからなのであります。

それは、関口夏央と谷口ジローの合作『『坊っちゃん』の時代』(副題:凛冽たり近代 なお生彩あり明治人)というコミック(双葉文庫全5巻)。これは大いなる傑作なのでありますが、(ぜひご一読をお勧め)その第3巻のメインキャラとして活躍し、残したうたから想像されるイメージと、あまりにかけ離れたその人間ぶりが、読んだ者の記憶にくっきりと残る啄木石川一(いしかわはじめ)。この啄木像と、源一郎の描く啄木像は、ぴたりと一致している。こちらを先に読んでから本書を読めば、源一郎の書く、借金踏み倒し王、反公序良俗、好色の王様、啄木の描写を読むにつけ、谷口ジローの手になる、おでこの広い、コボちゃんみたいな啄木像が脳裏に浮かび、とても具体的に楽しめる。ちなみに源一郎は、本シリーズのあとがきなども寄せているから、もちろんこの啄木像は、原稿を書く源一郎の脳裏にも、同じように浮かんでいたに違いない。

そして、もう一冊は、嵐山光三郎の『追悼の達人』(新潮文庫)。これも、日本の文人たちのつながりやゴシップ、同時代人同士の評価や好き嫌いなどがかいま見える、日本文学の曼陀羅となっていて、作品を読むのとはまた違った、作者への具体的イメージをつくるのにとてもよろしい。

「イメージ的にはそうでもないのに、実はとんでもなく迷惑で、ぶっ飛んだ人」カテゴリーで、過去の著名人を挙げるとすれば、啄木は結構いい線行っていると思うのだが、その文脈でセレクトすると、野口英世のとんでもなさは、その比ではないという話もある。これについては、また別の機会に書くことに。

ただいま、読書に充てる時間が少し削られている状況。しかも何冊かかけもちで読み進めていることもあって、本書の読了はかなり先になりそうであります。読了の曉には、本書全体への感想もアップの予定。

『日本文学盛衰史』  高橋源一郎  講談社  2001年発行 (読書中ですが)

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» 『私生活』高橋源一郎、集英社インターナショナル [oxygen 〜酸素〜]
 高橋源一郎が雑誌に連載していたエッセイをまとめたもの。  原宿、沼袋、鎌倉と住 [続きを読む]

受信: 2004年6月 5日 (土) 18:21

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