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2005年3月

2005年3月30日 (水)

『昭和天皇の終戦史』 吉田裕

昭和天皇の終戦史(岩波新書 新赤版 257)
吉田裕著

出版社 岩波書店
発売日 1992.12
価格  ¥ 819(¥ 780)
ISBN  4004302579

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 本書の発行は1992年。執筆のきっかけは、1990年に、昭和天皇の御用掛であった寺崎英成の遺族のもとで、天皇の「独白録」ともいうべき記録が発見されたことである。

「この『独白録』は、昭和天皇の個人的な回顧談などではない。このとき天皇はまぎれもなく一個の政治的主体として行動しており、さらに天皇をとりまく側近たちの水面下におけるさまざまな政治工作とあわせ考えることによって、初めてこの文書の本質がみえてくる」との認識に基づいて書かれている。

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2005年3月23日 (水)

『ダイング・アニマル』 フィリップ・ロス

続けてフィリップ・ロスの新作です。『ヒューマン・ステイン』に比較して、長さもかなり短いし、人間関係も単純。一本太く通ったテーマは「老人の性」、あるいは女性遍歴を重ねた男が、初めて味わう嫉妬と妄想、という感じ。とはいえ、そこはロスのこと、主人公も含めて、配されている人物たちそれぞれの出自や育ち、価値観や時代性は、きちんと書き込んでいる。その手際は相変わらず見事である。

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2005年3月22日 (火)

『ヒューマン・ステイン』 フィリップ・ロス

ヒューマン・ステイン
フィリップ・ロス著・上岡伸雄訳

出版社 集英社
発売日 2004.01.31
価格  ¥ 2,310(¥ 2,200)
ISBN  4087733955

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 何かを選択することは、同時に他の選択肢を選ぶ可能性を失うことでもある。大人になることはその事実を学ぶことでもあるのだが、そのような一般論で語れないほど過酷で、そして後戻りできない大きな選択となるのが、アメリカにおけるアイデンティティの選択だろうと思う。出自を選ぶことができないのが生き物の定めだが、出自がその人間の人生の大きな部分を規定してしまうのがアメリカという国である以上、出自に対する意識が常に小説のテーマになり、人生のテーマになることは当然のことだろう。フィリップ・ロスは、ユダヤ系アメリカ人であることをテーマに置いてきた。本書も、作者の分身である作家のネーサン・ザッカーマンの小説である。しかし、ネーサンは主人公ではなく、主人公であるコールマン・シルクという晩年に知り合った友人の生涯をかわりに描く、という立場で、物語は綴られる。

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2005年3月16日 (水)

『アーティチョーク』 よしもとばなな

恋愛小説
川上弘美 小池真理子 篠田節子 乃南アサ よしもとばなな

出版社 新潮社
発売日 200501下旬
価格  ¥ 1,470(¥ 1,400)
ISBN  4104412511

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 書店で売られている本のタイトルは『恋愛小説』なのだけど、私の読んだ小説のタイトルは『アーティチョーク』。その理由は以下に。

恋を読む、恋に酔う。甘くせつない痛みが胸に広がるひそやかな時間-。サントリーとのコラボレーションで話題となったミニ本「新潮ハーフブック」が一冊に。5人の名手による、心うるおう極上の物語。

サントリーウイスキーを買うとついてくる「新潮ハーフブック」の1冊を読んだのでした。

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2005年3月 9日 (水)

『政治家の文章』 武田泰淳

政治家の文章
武田 泰淳


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武田泰淳著 (1960年発行)

8章に分かれている。

Ⅰ 「政党政派を超越したる偉人」の文章
Ⅱ 思いがけぬユウモア
Ⅲ 二人のロシア通
Ⅳ ある不思議な「遺書」
Ⅴ 近衛の「平和論」
Ⅵ A級戦犯の「日記」
Ⅶ 「政党全滅」をめぐるもろもろの文章
Ⅷ 徳田球一の正直な文章

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2005年3月 8日 (火)

『今日われ生きてあり』 神坂次郎

 神坂次郎著

薩摩半島の最南端に、開聞岳という山がある。標高九百二十二メートル。薩摩富士とよばれるこの美しい円錐形の山は、裾野を太平洋に洗われ、ふかい緑におおわれた山頂から麓まで一直線の傾斜をみせた端正な山である。開聞岳の名は、鹿児島湾の入り口のあるところから“海門”となり、それが転じたのだという。四十年まえ、本土最南端、陸軍最後の特攻基地知覧を出撃した特攻隊の編隊は、この開聞岳上空を西南にむかって飛び去っていった。

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2005年3月 5日 (土)

『愚か者死すべし』 原尞

愚か者死すべし
原〓著

出版社 早川書房
発売日 2004.11
価格  ¥ 1,680(¥ 1,600)
ISBN  4152086068

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 原尞はもう書かないのかと思っていたので、この復活はとても嬉しい。お久しぶりの探偵沢崎は相変わらずで、浮かれず、騒がず、やるべきこと、やってはいけないことの行動規範も頑固なまでに健在。「冷静」ではなく「平静」と言われる。

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2005年3月 3日 (木)

『反社会学講座』 パオロ・マッツァリーノ

反社会学講座
パオロ・マッツァリーノ著

出版社 イースト・プレス
発売日 2004.06
価格  ¥ 1,500(¥ 1,429)
ISBN  4872574605

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 著者は、日本語がとっても上手なので、これは翻訳本ではありません。それにしても、日本のことを本当によくご存じで。それもそのはず、この人、現代版イザヤ・ベンダサンです。どこかの社会学者が匿名でネットに書いていたものが評判を呼び、本になったらしい。

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『青空感傷ツアー』 柴崎友香

青空感傷ツアー
柴崎友香著

出版社 河出書房新社
発売日 2004.03
価格  ¥ 1,365(¥ 1,300)
ISBN  4309016227

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  出ました、帯に「保坂和志氏絶賛! “この作者こそ、本当の意味で、人間やこの世界を、信じて、肯定している”」。なるほど、そうなのか。嫌な感じが一つもないものね。さらさらと読める。主人公たちの時の流れに一緒に乗って、あっちへゆらゆら~、こっちへゆらゆら~、人生ってこうやって続いていくものなのね~、と穏やかな心の時間が流れてゆく。

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