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2005年5月 9日 (月)

『古本極楽ガイド』 岡崎武志

古本極楽ガイド
岡崎 武志
筑摩書房 (2003.9)
通常2~3日以内に発送します。

さて、本書は、古本屋さんや古書展での本の買い方に始まり、ユニークな古書店主の紹介、そして、著者自身の好きな(ヤスケン的には“偏愛”と言う)本にまつわるエピソードなどが、次から次から繰り出されていて、本好きにはたまらない読み物となっている。私は古本道に足を踏み入れていないので、言及されている超著名な古書店主も、世間的には忘れられているような作家も、知らない名前が多いのだけれど、それでも十分楽しめる。

例えば「石神井書林」の内堀弘(通称ウッちゃん)の章では、ウッちゃんのこんな名言を紹介している。

どういうふうになれば、古本屋として成功と言えるのか。例えば食えるようになるってことか。本がたくさん売れるってことか。商売規模が大きくなるってことか。……ぼくはみんな違うような気がしますよ。どんな小さな店でも、それなりに一所懸命やっていれば、必ずお客さんは来てくれます。要するに、自分が自分にどれだけ飽きずにやっていくか、ってところに懸っているような気がする。売れることがいいんだ、となると、それは単調な刺戟で、少なくともぼくはすぐ飽きてしまうと思う。いつも自分に欲しいものがたくさんある。そんな気持ちがあってお金がない。これが健全だと思うんです。それがなくなると、古本なんて、とたんにただの汚いゴミの集積に見えてしまう。

うーーん、深い。

ウッちゃんの発言、さらに『論座』より引用。

人がほしいものを探しているわけじゃなくて、自分がほしいものを探しているわけだからね。僕にとって古本屋さんというのは、実は、人に何かものを届けたいという仕事じゃないような気がするんですね。

そのうえで、そのコラムをこうまとめている。

詩の言葉は必敗をかけた言葉だ、とどこかで読んだ。古本屋という職業もまた、必敗をかけた職業だと内堀さんの話を聞いて思った。だからこそ、店主はみな一匹狼で、あれだけ魅力的でいられるんだ、と。

古本好きも、古本屋も、我が道を行く。そして、旅の途中でたまに交わり、またそれぞれの道を行く。そんな印象を受けた。心やさしき、しかし、おそろしく頑固な人たちよ。

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