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2005年6月11日 (土)

『古本夜話』 出久根達郎

古本夜話
古本夜話
posted with 簡単リンクくん at 2005. 6.11
出久根 達郎 / 出久根 達郎著
筑摩書房 (2003.11)
通常2~3日以内に発送します。

ちょっと手抜きで、裏表紙から抜粋。

古本屋の店頭で毎日のようにくりひろげられる人間模様。なぜか古本のまわりには、奇妙な話、泣かせる話、ぞっとする話などドラマがいっぱい。ほんとうなのか、ウソなのか、にわかには判じ難い出来事を絶妙な筆致で描き出す。古書店を営みながら、作家デビューをはたした出久根達郎が自分自身の体験を書き綴った初期作品を中心に選んだ古本アンソロジー。  解説 岡崎武志

長短とりまぜて編まれたアンソロジーだが、短い小話仕立てのものが多い。本書を読んでいるあいだは、どういうわけか、「江戸」という言葉が頭に浮かんで仕方がなかった。ここに書かれている古本の世界は、私が古典的に想像するときの古本の世界だ。素封家のあるじがなくなり、その蔵書の処分を頼まれるとか、いわく因縁のある書の運命だとか、本が持ち主の命を奪った話とか、日の当たらない土蔵の中、紙の虫干しをしている空気などなど。とても現代の話とは思えない温度が、本書全体に漂う。

そんな中、子どもと店主の心温まるエピソードが印象に残った。「昔の微笑」というタイトルの短いエッセイである。

また、「おもしろい本あった会」で、ある会員の語った、山村母暮の詩にまつわるエピソード「いちめんのなのはな」は、非常に幻想的、かつ、絵画的で、小説の趣を呈している。

いずれも本にまつわる話であるが、本の好きな人にとって、本というものは、単に書かれている中身だけを指すのでなく、本のたたずまいも、本がたどる運命も、本がもたらす運命も、人との交わりも、すべて含めた存在である、と深く知らされる一冊であった。

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» 本というものは。 [退屈男と本と街]
 一一日の「とみきち読書日記」で  『古本夜話』(ちくま文庫/出久根達郎著) について書いている。  その、まとめのところが、イイのだ。 〈いずれも本にまつわる話であるが、本の好きな人にとって、本というものは、単に書かれている中身だけを指すのでなく、本のたたずまいも、本がたどる運命も、本がもたらす運命も、人との交わりも、すべて含めた存在である、と深く知らされる一冊であった。〉... [続きを読む]

受信: 2005年6月11日 (土) 15:56

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