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2005年6月22日 (水)

『古本屋の女房』 田中栞

古本屋の女房
古本屋の女房
posted with 簡単リンクくん at 2005. 6.22
田中 栞
平凡社 (2004.11)
通常2~3日以内に発送します。

奥付から、著者プロフィールを書き写します。「昭和34年、横浜市生まれ。横浜の古書店「黄麦堂(おうばくどう)」夫人。三笠書房、汲古書院の編集者を経て、現在、校正者。日本出版学会会員、日本校正者クラブ会員、日本書票協会編集顧問、書皮友好協会特別会員。『季刊「銀花』『ユリイカ』『彷書月刊』『図書館の学校』『紙魚の手紙』などに古書・書店関連記事を執筆。

本書を読むことをお薦めしたい方々。

1.古書店の家族の日々の様子が知りたい方。

2.古本屋によるセドリの実態を知りたい方。

3.古書店の女房になりたい方。

という感じですね。強いて言うなら、私は1.の部分が面白かったかな。この田中栞さんは強烈にパワフルです。なんというか、徹底した人です。本書は書き下ろしは「必殺セドリ妊婦」と「女房が離婚を考える時」のみで、あとは皆、何らかの印刷物に書かれたものに加筆訂正されたもの。

「古本屋めぐりは子連れで」の章がすごいこと、すごいこと。娘と息子がいるのだが、3歳7カ月の息子さんを連れて、静岡に用事ができた著者は、古書店訪問の一泊旅行に出る。

子供の着替えやオモチャ、絵本、菓子、冷たい麦茶などを詰め込んだリュックを背負い、体重14.5キロの訂(ただし)が乗るベビーカーを押して歩くと、すぐに汗が吹き出してくる。

タウンページの古本の項を図書館でコピーして、それを頼りに古書店巡り。この時は、2日で13軒の古本屋を回り、買った本は計84冊。ふぅ。

9歳の娘を連れて、朝八時前に家を出て、2時間かけて浦和へ。主目的は美術館のとある展示。それが終わると即、古本屋巡りスタート。その日は7軒回って99冊購入して日帰りで帰宅。自分用の本は8冊だって。いやはや。

神戸・大阪、9歳の娘と4歳の息子を連れて5日間。55軒で、262冊。

古本屋が神保町のようにまとまって並んでいるわけではないから、方向音痴の著者は迷ったり、歩き疲れたりするし、子供は突然トイレに行きたいと言ったり、ストライキを起こしたりする。ブックオフのようなチェーン店以外の古書店は、営業時間がルーズなので、せっかくたどりつくと閉まっていたりする。やれやれ。

こんなに献身的に家族中が身を捧げてやっていくのが古書店なのか、と感慨深く読みふけっていたら、そうでもないらしい。

うちの主人は、古本屋をやっているくらいだから本は嫌いではないらしい。しかし、好きだといってもマニアではなく、私のほうがよほど「パラノイア的古本フェチ」である。

あら、そうなのか。あんなにすごい勢いで、子連れでセドリに邁進していたのは、内助の功じゃないのだって。

私がセドリに協力するのは、内助の功の心がけとか美しい夫婦愛によるものなどでは決してない。まず第一の理由は、大量に本を買う時の爽快感。第二に、古本屋にいるだけで幸せな気分になれるから。そしてなにより最も大きな理由は、「電車賃の節約」である。主人はセドリのためだけに交通費を投じているが、私はあくまでも他の用事で外出した時に、ついでに買っているので、原則としてセドリにかかる経費はゼロ円。私にとってセドリは、大好きな「古本屋めぐり」を実行することに伴う副産物である。

ああ、そうなんだ。古本屋の女房になって喜んでいるのは、著者自身なんですね~。そうでなきゃ、子供を連れて、何十冊の本を買い歩かないですよね~。いや、しかし、「ついで」と言う割には、ほとんど主目的になっていて、費やされるエネルギーと時間たるや……。それに、難癖つけるわけじゃありませんが、途中タクシーも使っていましたよね(笑)。

古書店の売り上げ等の管理には一切口出ししていなかったそうで、なんとご主人、家賃が払えない羽目に。すったもんだした挙げ句、黄麦堂は店をたたみ、インターネット書店に転向することになったそうです。

本書のもう一つの注目ポイントは、「自営業の家族」という切り口かも。子供たちが、いまっぽいところもあるけれど、昔のまんまの「自営業の家族」。いい味出てました。

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コメント

おはようございます。

更新されてますね。お仕事は一段落ですか?
こちらのブログで『古本道場』と『古本夜話』を読みたいなぁと思っていた私には、さらに「読みたい本リスト」一冊追加になってしまいました^^;。

投稿: みぃ | 2005年6月22日 (水) 09:04

>みぃさん

久しぶりに更新しました~。
古本系に関心をお持ちになりましたか?私の関心は、まだ「古本について書いている本」止まりで、古本や古書店そのものまで到達しておりませんが。どれもひと癖ありますよ。
『古本道場』が一番一般的かなぁ。あとは少々マニアック。

業界的にはなかなか厳しいみたいだけど、ものすごい情熱を古本に注いでいる人たちがたくさんいるのだなぁと驚きます。

投稿: とみきち | 2005年6月22日 (水) 10:58

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