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2005年7月

2005年7月26日 (火)

『魂萌え!』 桐野夏生

魂萌え!
魂萌え!
posted with 簡単リンクくん at 2005. 7.26
桐野 夏生 / 桐野 夏生著
毎日新聞社 (2005.4)
通常24時間以内に発送します。

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2005年7月25日 (月)

『ドリームタイム』 田口ランディ

ドリームタイム
田口 ランディ / 田口 ランディ著
文芸春秋 (2005.2)
通常2??3日以内に発送します。

エッセイと小説の中間の短編集。『富士山』に続けて読んで得た確信は、ランディは自らの経験に基づく話を書くほうがうまい、ということ。裏を返せば、ストーリーづくり、ディテール書き込み、描写力、虚構世界の構築、こうしたものは苦手、ということなのかもしれない。

初めて小説に挑戦した『コンセント』が出たとき、いいぞ!と思ったのだが、あれは実体験をもとに、ランディがどうしても書かなければならないテーマだったからだ。書かねばならない必然は、作家自身にあったのだ。

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『富士山』 田口ランディ

富士山
富士山
posted with 簡単リンクくん at 2005. 7.25
田口 ランディ / 田口 ランディ著
文芸春秋 (2004.3)
通常2??3日以内に発送します。

富士山をテーマに据えた小説が4編。主人公は皆、生きることの意味がわからず、「死」が常にそばをちらついている人たちだ。そして、「存在」の意義が実感できない彼らを、富士山がいつも見つめている、といった構成。

『青い峰』

医学部に入って、死体を見てから、生きることの意味、人の命を救うことの意味を考えるようになり、カルト的宗教集団に入信。集団が解散させられてから、社会復帰してコンビニ勤めを開始、人とのかかわりをなるべく浅くしようとしている主人公。彼に近づくのは、やはり人との深いかかわりが怖いという自称女子大生のバイトの女の子こずえ。こずえとのやりとりから、彼の心に変化が生まれる。こずえの言葉で表現される富士山は、「いつも、静かに、黙って、見守ってくれている存在。同じ世界にいるのに、別の世界のものみたいな、そんな存在」。

『樹海』。自殺名所の青木ヶ原樹海に、中学校卒業記念の冒険をしに、15歳の少年たち3人が出かける。それぞれが抱える心の闇と、自殺未遂の男性との遭遇。魂の世界にひかれるティーンエイジャーの気持ちと、現実の世界に引き戻してくれる富士山の姿と。

『ジャミラ』は、なかなか味のある一編だった。ごみを溜めて、溜めて、溜め込んだごみ屋敷に住む老婆に、市役所環境課の職員、僕は「ジャミラ」とあだ名をつける。僕の仕事は、ジャミラにごみ撤去を承諾させること。ジャミラが溜め込むゴミの意味。そして、僕が、切り捨てるために、忘れるために、記憶の穴に埋めてきた過去のゴミ。ジャミラは、富士山からやってきた異界の生き物だったのかもしれない。

『ひかりの子』。産婦人科の看護師である私は、中絶に来る女の子に対して憎しみを感じてしまう自分が苦しい。ふと出会った女性に誘われて、富士山のグループ登山ツアーに参加する。さまざまな苦難があった末、ご来光を拝むシーンがハイライト。「あたり一面に光が溢れ、雲が血の色に染まる。このようにして、魂は毎日生まれていたのだ。そのことを忘れているけれど、でも、すべての人が知っている。私たちはみんな太陽の子供だ。新しい朝だ。全世界に、無数の産声がこだまする。」

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2005年7月14日 (木)

第133回芥川賞、直木賞決定

花まんま
花まんま
posted with 簡単リンクくん at 2005. 7.14
朱川 湊人
文芸春秋 (2005.4)
通常24時間以内に発送します。

第133回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考委員会が14日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は中村文則さん(27)の「土の中の子供」(新潮4月号)に、直木賞は朱川湊人さん(42)の短編集「花まんま」(文芸春秋)に決まった。
 中村さんは愛知県生まれ、福島大学卒業。2002年に「銃」で新潮新人賞を受けデビューし「遮光」で野間文芸新人賞。3回目の芥川賞候補で射止めた。愛知県東海市在住。受賞作は親に捨てられ虐待を受けて育った青年を通して、暴力の根源を見つめる作品。
 朱川さんは大阪市生まれ。慶応大卒。出版社勤務を経て文筆活動に入り、作家デビューから3年。2回目の直木賞候補で受賞した。東京都在住。受賞作は、大阪の路地裏に起きた不思議な出来事を子供時代の記憶として描いた。
(共同通信) - 7月14日20時18分更新

おめでとうございます。未読の作家がまた……。幾ら読んでも(大して読んでいないけど)追いつかないのであります。読んだ方の感想をお聞きしたいところです~。

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2005年7月 5日 (火)

『A2Z(エイトウズイ)』 山田詠美

A2Z
A2Z
posted with 簡単リンクくん at 2005. 7. 5
山田 詠美 / 山田 詠美〔著〕 / 山田 詠美〔著〕
講談社 (2000.1)
通常2~3日以内に発送します。

これもお勧め! 山田詠美、巧い、巧すぎ。そして、真摯で、考えさせられる恋愛小説だ。タイトルのA2Zは、アルファベット26文字をあらわしている。各章のキーワードとなる単語は、Aから始まりZで終わる。

主人公の私は、35歳の文芸編集者、夏美。他社の文芸編集者である夫、一浩は、たまに同じ作家を受け持つことがあるライバルでもある。夫が、恋人がいることを白状した。そのこと自体がaccident。夫は、そのことを夏美に言いたかったのだと言う。夏美も実は、25歳の恋人がいる。会社のそばの郵便局員、成生(なるお)。

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『柳兼子の生涯  歌に生きて』 小池静子

柳兼子の生涯
柳兼子の生涯
posted with 簡単リンクくん at 2005. 7. 5
小池 静子
勁草書房 (1989.11)
この本は現在お取り扱いできません。

柳兼子は、柳宗悦の妻であった人である。そして、80歳半ばを超えても、リサイタルを開いて歌っていた、日本の最初の本格的なアルト歌手である。著者は、1989年の本書刊行時は、国立音楽大学勤務、兼子の晩年のお弟子さんである。兼子の生涯を書き残す目的で、兼子自身から、生い立ちから始まり、さまざまな生涯の出来事を聞き書きし、一冊の本にまとめたものだ。

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2005年7月 2日 (土)

『風味絶佳』 山田詠美

風味絶佳
風味絶佳
posted with 簡単リンクくん at 2005. 7. 2 / 山田 詠美〔著〕
文芸春秋 (2005.5)
通常2~3日以内に発送します。

「日頃から、肉体の技術をなりわいとする人々に敬意を払って来た」という山田詠美が、文筆業20年の記念に、肉体の技術をなりわいとする男を主人公にして著した短編集。ベテランの味といおうか、堂々たる安定感といおうか、すばらしい出来上がりに酔いしれた。

あとがきの冒頭を引き写す。

世に風味豊かなものは数多くあれど、その中でも、とりわけ私が心魅かれるのは、人間のかもし出すそれである。ある人のすっくりと立った時のたたずまい。その姿が微妙に歪む瞬間、なんとも言えぬ香ばしさが、私の許に流れつく。体のすべての器官を使って、それに触れて味わおうとする時、自分の内に、物書き独特の欲望が湧き上がるのを感じる。食欲とも性欲とも知識欲とも異なる、あえて名付けるなら描写欲とでも呼びたいような摩訶不思議な欲望。

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『袋小路の男』 絲山秋子

袋小路の男
袋小路の男
posted with 簡単リンクくん at 2005. 7. 2
糸山 秋子 / 糸山 秋子著
講談社 (2004.10)
通常24時間以内に発送します。

恋は、錯覚から生まれる。片思いであっても、相思相愛であっても。これは世のならいでしょう。錯覚のうえに砂のお城を築いているあいだ恋は続き、錯覚に気づいたときにお城は崩れ、恋は終わる。

『袋小路の男』は、錯覚に気づきたくなくて、その錯覚をそのまま12年間持ち続けた「私」の話、である。そして、相手の男は、住んでいるところも袋小路なら、人生も袋小路、だもんだから、「私」の錯覚を感じているのか、利用しているのかわからない。この関係を説明するのに、コミュニケーション不全、なんて一言で片付けてしまったら、つまらないかもしれないけれど。

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