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2005年9月

2005年9月26日 (月)

『幸田文のマッチ箱』 村松友視

幸田文のマッチ箱
村松 友視著
河出書房新社 (2005.7)
通常24時間以内に発送します。

帯より。「〈幸田文〉の旅をしてみよう 母の死、父・露伴から受けた厳しい躾、弟の死、継母との関わり……そこから浮かび上がる「渾身」の姿。作家・幸田文はどのように形成されていったのか。その「作品」と「場所」を綿密に探りつつ、幸田文世界の真髄にせまる極上の書き下ろし!」

幸田文は好きな作家だ。その「好き」という気持ちは、岡本かの子や瀬戸内寂聴が好きなのと同じような気持ちだ。生命力に溢れ、与えられた境遇の中で見てくれに囚われずにもがき苦しみ、自身の道を、書くことによって自分自身を切り拓き、築いていった人。人生に覚悟の座った作家というのは、そうそうたくさんいるわけではないと思う。特に男性作家においては、総じて弱々しかったり、自己愛が強かったり、負の意識が表出していたりする。女が一人、世間に向かって物を書くときは、そんななまなかなことでは通用しない。一度ひっくり返ったぐらいの覚悟をもって筆を持たねばならないから、書くと決めた女流作家の作品は力強いものが多いのではないか、と思う。

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『健全な肉体に狂気は宿る』 内田樹・春日武彦

健全な肉体に狂気は宿る
内田 樹〔著〕 / 春日 武彦〔著〕
角川書店 (2005.8)
通常24時間以内に発送します。

副題は「生きづらさの正体」とある。春日武彦は精神科医であり、多数の著書があるが、私は未読である。内田と精神科医の対談、しかも現代的なテーマときたら、と大きな期待を寄せて読んでみた。結論からいうと、対談としては面白くない。思いがけない化学反応が起きていないのだ。それぞれがそれぞれの持ち駒をちょろちょろと出して、ふんふんと共感したり、へえと言ったりしているだけ、という感じ。

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『河岸忘日抄』 堀江敏幸

河岸忘日抄
河岸忘日抄
posted with 簡単リンクくん at 2005. 9.26
堀江 敏幸著
新潮社 (2005.2)
通常2-3日以内に発送します。

大好きなたぐいの小説の一つ。『いつか王子駅で』と同じテイストながら、同じところにとどまってはいるわけではなかった。ためらい、逡巡、迷いが同様に描かれているが、ここでの「彼」は一歩先に行っている。人生の荒波にしっかりと分け入っている。ためらう時間を、意識的につくり出し、そのあとの人生を見つめようとしている。どちらかといえば、これから自分の進むべき道、第一歩を見つけようとする逡巡であった『王子駅』とは、そこが違っているだろう。そして、気になるのは、何度か言及される「妹の死」である。結局「命の芯」という言葉が象徴的に語られただけで、「彼」の心の中でどのようなおさまりをつけたのか、わからないままになっている。

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2005年9月24日 (土)

雑記帳のURLを変更いたしました。

「とみきち雑記帳」のURLを変更いたしました。

リンクを張ってくださっている方は、お手数をおかけして申しわけないのですが、新しいURLにご訂正をお願いいたします。

旧 http://yomuyomu.tea-nifty.com/posi/

新 http://yomuyomu.tea-nifty.com/zakki/

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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2005年9月20日 (火)

『身体の言い分』 内田樹・池上六朗

身体(からだ)の言い分
内田/樹??著 / 池上/六朗??著
毎日新聞社 (2005.7)
通常24時間以内に発送します。

対談のキーワードは「ライト・タイム ライト・プレイス」、あるいはご縁である。この本に書かれているとおりに生きていかれたら、世の中怖いものなし、という感じ。でも、本能的に私はかなりの高確率で、共感しっぱなし。まさに自分が思っていたことを、うまく言語化して説明してくれたなぁ、という感じである。わがままに、頭というよりは本能あるいは感覚で物事を判断し、緊張するよりリラックスして、結果オーライで脳天気にまいりましょう、というふうにまとめてみると、なんとなく本全体のトーンがおわかりいただけるだろうか。

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2005年9月 5日 (月)

『リリー&ナンシーの小さなスナック』 ナンシー関/リリー・フランキー

リリー&ナンシーの小さなスナック
ナンシー関著 / リリー・フランキー著
文芸春秋 (2002.12)
通常2??3日以内に発送します。

この二人に共通しているのは、自分を笑う精神。これに尽きる。だから、何をネタにしても、哀しみ&おかしみが漂い、読む者は引きつけられる。なんという至福のコンビだろう。

雑誌「クレア」に連載されていた対談を単行本化したもの。だから一応その都度テーマがあるわけで、二人とも結構まじめにテーマを気にしながら話しているのだけれど(そこがとても可笑しい)、どうしたってまともな話になるわけがない。ほんの一部を引用しても、その可笑しみは伝わらないから、引用はヤメ。

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『脳死・臓器移植の本当の話』 小松美彦

脳死・臓器移植の本当の話
小松 美彦著
PHP研究所 (2004.6)
通常2??3日以内に発送します。

自分の主張や行動の動機づけにブレのない人の言葉には、強さがあると思う。何のために語っているのか、何を信じているのか、主張の足腰を支えるその思いの強さは、ストレートに表現されなくとも、読む者に迫りくる力となる。本書は、著者の動機の強さに引きずられて、あっという間に400数十ページを読み切ってしまった。平易で明快な日本語ではあるものの、内容は決して易しくはないのに。著者の気迫が途中でだれることがなく持続しているからだろう。これほどパワフルな新書も珍しい。

脳死にしろ、臓器移植にしろ、何一つ知らなかったのだ、ということがよくわかった。軽々に結論が出せる問題ではないからこそ、是非ぜひなるべく多くの方に読んでいただきたい一冊である。

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