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2006年1月

2006年1月21日 (土)

『対岸の彼女』 角田光代

対岸の彼女
対岸の彼女
posted with 簡単リンクくん at 2006. 1.21
角田 光代著
文芸春秋 (2004.11)
通常24時間以内に発送します。

主人公小夜子は頭の中でぐるぐると考える。

なんのために私たちは歳を重ねるんだろう。大きな窓の外、葉を落とした銀杏並木を眺め小夜子はぼんやり考える。園児を待つあいだのお茶の誘いを、忙しいからと数度断れば、元々同じ幼稚園に子どもを通わせているわけではないのだし、彼女たちはもう誘ってこなくなるだろう。けれどそんなことでもう自分は傷ついたりしない。高校生のように暇じゃないのだ。自分にも、彼女たちにも、それぞれの家庭があり生活がある。

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2006年1月19日 (木)

『見上げれば 星は天に満ちて 心に残る物語――日本文学秀作選』 浅田次郎編

見上げれば星は天に満ちて
浅田 次郎編
文芸春秋 (2005.5)
通常24時間以内に発送します。

文春文庫創刊30周年記念「心に残る物語――日本文学秀作選」の第二弾。編者は浅田次郎。わりあいに正統な短篇が選ばれているという印象です。編者のあとがきによれば

「心に残る物語」という基準で、十三の短編小説を思うがままに選んでみた。これが、「すぐれた短編小説」という基準であれば、おのずとちがう選定になったであろうが、そういう大仕事はまず引き受けまい。しかし一方、心に残る物語すなわち私にとってのすぐれた小説、ということも言える。

小説家であると同時に、小説好きな浅田次郎が選んだ13編、以下に簡単にご紹介。

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2006年1月17日 (火)

第134回芥川賞・直木賞決定

決まりました。

芥川賞受賞作品は、今頃?とちょっと意外な絲山秋子『沖で待つ』。

直木賞受賞作品は、6回目か何かでようやく受賞の東野圭吾の『容疑者Xの献身』。

両者の嬉しそうな記者会見の様子が、なかなか眩しかった。おめでとうございます。絲山作品は「文学界」所収のもので、書籍化されていません。両作品とも私は未読ですが、妥当で無難な授賞ではないでしょうか。選評が楽しみです。

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2006年1月13日 (金)

『海も暮れきる』 吉村昭

海も暮れきる
海も暮れきる
posted with 簡単リンクくん at 2006. 1.14
吉村 昭〔著〕
講談社 (1985.9)
通常2-3日以内に発送します。

「はるの山のうしろからけむりが出だした」

壮絶な病死をした尾崎放哉の最後の句である。吉村昭によるあとがきの一部を紹介する。

(…略…)私はいつの間にか尾崎放哉の句のみに親しむようになった。放哉が同じ結核患者であったという親近感と、それらの句が自分の内部に深くしみ入ってくるのを感じたからであった。放哉の孤独な息づかいが、私を激しく動かした。放哉も死んだのだから、自分が死を迎えるのも当然のことと受容すべきなのだ。と思ったりした。

十二年前、放哉の死んだ小豆島西光寺の別院南郷庵に行った。粗末な庵で、その前には、

   いれものがない両手でうける

という句の刻まれた碑が立っていた。近くの道からは、初秋の海が見えた。碑の施主である井上一二氏を訪れ、土蔵の中にある放哉から井上氏に宛てた多くの書簡類も見せていただいた。

(…中略…)

私は、三十歳代の半ばまで、自分の病床生活について幾つかの小説を書いたが、放哉の書簡類を読んで、それらの小説に厳しさというものが欠けているのを強く感じた。死への激しい恐れ、それによって生じる乱れた言動を私は十分に書くことはせず、筆を曲げ、綺麗ごとにすませていたことを羞じた。

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2006年1月 2日 (月)

『色を奏でる』 志村ふくみ

色を奏でる
色を奏でる
posted with 簡単リンクくん at 2006. 1. 2
志村 ふくみ文 / 井上 隆雄写真
筑摩書房 (1998.12)
通常2-3日以内に発送します。

草木染めの染色家のエッセイ。このうえなく美しい井上隆雄の写真が、彩りを添えている。

例えばこんな文章である。「くちなしの黄」より

十二月、くちなしの実をいただく。

(…中略…)

光り輝くくちなしの黄は、あまりに影がなく明るすぎる。無煤染なのである。他の染料のように煤染によって変化しない。あくまで輝く黄なのである。黄金色――王者の色であろうか。王者は何者によっても動くことがない。他の色をよせつけない。それ故、孤独、単一である。

色にはそれぞれの運命がある。くちなしは無言、そして無地がいちばん美しい。

一つの道を極めた人の言葉は、まっすぐに届く。

著書「一色一生」で大佛次郎賞受賞(1983年)、重要無形文化財保持者に認定されている(1990年)。

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『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 リリー・フランキー

東京タワー
東京タワー
posted with 簡単リンクくん at 2006. 1. 2
リリー・フランキー著
扶桑社 (2005.6)
通常24時間以内に発送します。

最愛で最大の理解者オカンに捧げるオマージュ。売れに売れている。文章もうまいけれど、ここに描かれる“オカン”は、多くの日本人男性の「おふくろとはこうあってほしい」と思うタイプそのものではないか、と思う。

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