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2007年7月

2007年7月24日 (火)

『淳之介流―やわらかい約束』 村松友視

第一章 吉行淳之介とは何者? の一部を引用します。

タイトルの「淳之介流」の「流」の意味はもちろん流儀をあらわしているが、吉行淳之介の口癖に「流れ」というのがあった。「そこから先は流れで」と、決めごとに不慮の事態によってぶれが生じたときに使う、常套句といってよいセリフだ。相手の出方が読めぬとき、そのケースのこなし方をあらかじめ決めず、その場の流れにしたがって行動するという感覚でもある。

 これは一見、受動的に思えて、実はなかなかの才気、センス、度胸、胆力、膂力、体力、エネルギーを必要とするところで、このあたりにも吉行淳之介的な振幅が垣間見える。

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2007年7月17日 (火)

『沼地のある森を抜けて』 梨木香歩

タイトルと装幀から想像されるものと、これほどかけ離れている本も珍しいかもしれません。とにかく意表をつかれました。物語は女性のモノローグで始まります。主人公の女性は、長いあいだ疎遠になっていた時子叔母の死をきっかけに、代々伝わる家宝とされているぬか床の管理を、時子叔母の姉である加世子叔母から命じられる。このぬか床が問題なのでありますよ。

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2007年7月10日 (火)

『春になったら苺を摘みに』 梨木香歩

梨木香歩のエッセイ第一作。単行本は2002年2月の刊行。文庫は書き下ろしの、「五年後に」を加えて、2006年に刊行されました。

エッセイを読む楽しみは幾通りかあると思います。著者の日常をかいま見る楽しみ、日常の小さな喜びを描いたものに共感を持ちながら読む楽しみなどが一般的かと思います。本書にも、「物語」作者である著者が著者自身である時間が描かれていることには違いありません。それでも、「本書を読むことによって梨木香歩がわかったか」と問われると、「はい、わかりました」と答えることはできません。

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2007年7月 2日 (月)

『眠れるラプンツェル』 山本文緒

ラプンツェルはお日さまの下にいるいちばんうつくしい子どもになりました。十二歳(じゅうに)のとき、魔法つかいの女はラプンツェルを塔のなかへとじこめました。その塔というのは、森のなかにあって、はしご段もなければ出はいりの戸もなく、てっぺんにちいさな窓が一つあるぎりでした。魔法つかいの女がなかへはいろうとおもったときには、女は塔の下に立って、

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2007年7月 1日 (日)

『ファースト・プライオリティー』 山本文緒

短編集です。面白く読めました。読んでいながら、脳みそが弛緩していくような気持ちになりました。何故なのかなぁ、と頭の片隅でぼんやり思いながらも一気に読み終えました。

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『日々是作文』 山本文緒

『恋愛中毒』は傑作でしたよね。女性雑誌のノリで押し通してきた小説が、さー、もうすぐ終わりという段になって、ええっ!?という展開に至ります。この手のものに慣れていない私は、すっかり、ころころころりと騙されていましたよ。へーーーー、と思って、読み終えてすぐに再読したものでした。

山本文緒って、うまいんだなぁと思ったものでした。そのほか読んだ記憶があるのは、『プラナリア』『あなたには帰る家がある』。もう少し読んだかもしれないけれど、思い出せません。

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