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2007年10月

2007年10月22日 (月)

『夫の右手 画家・香月泰男に寄り添って』 香月婦美子

「アトリエでのおしゃべり」

アトリエは、思い出深いところです。主人が亡くなりましてからも、毎日、朝夕の挨拶に、そして主人と話がしたくなるとアトリエに行きました。お墓よりもアトリエのほうが、主人がいるような感じがするのです。いまはそのアトリエも、主人の美術館に移築されました。移築を決心するまでは、とても寂しいような気持ちがしました。

主人が先生をしていたころは、学校から帰ってからが自分の絵の時間でしたから、毎日たいがい夜の二時ごろまで、アトリエで仕事をしていました。いちばん下の子がまだ小さかったでしたから、その子を寝かせて、家の用事がすみましてから、わたしもアトリエへ行って主人のうしろのほうに腰掛けて、主人の仕事を見ていました。そして子どものことやら、いろいろなことを、ぽつぽつとふたりしておしゃべりをしながら、主人は絵を描いていました。主人は話しながら描いてますけど、なにか決めることがあると、「ちょっと黙っちょけ」といって、考えています。そして決まったら、また自分からものをいいはじめました。

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