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2007年11月

2007年11月29日 (木)

『ある人の生のなかに』 川端康成

まずは、カバー裏の紹介文をそのまま引き写します。

作家御木麻之介の平凡で静かな生活は、宿命的な過去に纏わりつかれ、次第に崩れてゆく。妻順子、息子好太郎、娘やよい、嫁芳子、娘の婚約者、友人の娘と愛人……。複雑に入りくんだ人間関係、怨念と狂気に搦めとられ人生の亀裂の間に生きる人々。平穏な日常に生と死を透視させ、生命の根源的なテーマを淡々と描く問題作。長い中絶の後晩年に完結、没後単行本刊行された傑作長編。

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『老後は夫婦の壁のぼり』 ねじめ正一

老後を迎える心境をテーマに書かれたエッセイ集。どこの夫婦にもありがちな、夫と妻のあいだに横たわる、埋めることのできないコミュニケーションや価値観のずれの面白さはあるものの、この夫婦の相互理解の度合いはハイ・レベルだと思います。それだからこその悩みもあるけれど、ねじめ氏のどうしようもなさと、奥さんの賢さがうまくバランスしていて、長年連れ添った夫婦ならではの味わいがあります。

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2007年11月22日 (木)

『村上春樹にご用心』 内田樹

面白いですよ~。内田樹ファンなら、文句なくうれしい本。そして村上春樹ファンにとっても、うーーん、とうなるような鋭い指摘がいろいろと。内田ブログはいつも軽くチェックしているけれど、内田氏がこれほどまでの春樹ファンだとは知りませんでした。よく読み込んでいますよ、ファン歴が長い。年季が入っています。その手放しの賞賛ぶりが、一部の読者の反感を買うのだろうなぁと思いつつ、読んでいて照れてしまう感じもあるほどです。

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2007年11月19日 (月)

『たんぽぽ』 川端康成

川端康成の絶筆。昭和42年2月号より43年10月号まで「新潮」に連載されたもの。途中、入院等の事情により、二回にわたり休載されたという。長編小説として構想されていたが、作家の死によって未完に終わった作品。

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2007年11月16日 (金)

『自分の中に毒を持て   あなたは“常識人間”を捨てられるか』 岡本太郎

1988年に発行されているから、太郎はまだ生きているときですね。本書は、現代の迷える若者への人生訓のような目的で書かれているように思われます。全体に叱咤激励調です。

  1. 意外な発想を持たないとあなたの価値は出ない――楽しくて楽しくてしょうがない自分のとらえ方
  2. 個性は出し方 薬になるか毒になるか――他人と同じに生きてると自己嫌悪に陥るだけ
  3. 相手の中から引き出す自分それが愛――本当の相手をつかむ愛しかた愛されかた
  4. あなたは常識人間を捨てられるか――いつも興奮と喜びに満ちた自分になる

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『リリカルな自画像』『疾走する自画像』 岡本太郎

岡本太郎のエッセー集。

太郎は1911年に生まれ、1996年に没しています。85歳まで走り続けた人生でした。本書は、太郎の人生のパートナーであった岡本敏子が、太郎の死後、「なま身の太郎さん」を知ってもらいたいという気持ちで編んだエッセイ集2冊です。発行は『リリカル』が2001年4月5日、『疾走する』が2001年5月1日。敏子は1926年生まれだから、75歳のときの仕事ですね。敏子は2005年4月に79歳で亡くなりますが、太郎の没後、岡本太郎ブームを仕掛けて成功させ、さっと自分の人生の幕を下ろしてしまったという感じでした。

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2007年11月15日 (木)

『北方領土交渉秘録 失われた五度の機会』 東郷和彦

佐藤優と鈴木宗男の対談集、『反省 私たちはなぜ失敗したのか?』の中に、佐藤優の元上司で、鈴木宗男事件後、外務省を免職させられ、海外に逃亡(したのだと私は思っていた)した東郷和彦による本書の刊行が言及されていたので、興味をもって読んだのでした。私の興味は、どちらかといえば、鈴木宗男・佐藤優事件とは何だったのか、というやや野次馬的な方面に重きがあり、これまでに『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』をはじめとする関連書物を何冊か読んできました。

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2007年11月12日 (月)

『日本人は思想したか』 吉本隆明・梅原猛・中沢新一

吉本隆明・梅原猛という大御所が存分に語り合う場を盛り上げたコーディネーター役の中沢新一。その博識ぶりと手腕が光る鼎談です。「新潮」の平成6年1,3,5,7,9月号に掲載され、平成7年6月に新潮社より刊行されたもので、平成11年に文庫化されています。

大きなテーマなので、舵取りによっては「談」が深まらずに、知識の羅列で終わってしまいそうですが、相手の度量が大きいと、思い切った発言ができるのだろう、と思われるような展開が随所にあって、楽しく読めました。

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2007年11月 6日 (火)

『追想 芥川龍之介』 芥川文 中野妙子

芥川龍之介の妻、文(ふみ)のもとに中野妙子が通い、龍之介の追想を語ってもらい、それを書籍化したもの。語られる時期もエピソードも全く順不同で、類似の表現が随所に見られることなどから、中野はあまり手を加えていないのではないかと感じられる。それゆえ、文が龍之介を思う感情が素朴に直接に伝わってくるという良さがある。読者としては、解説や評伝的な要素が欲しいという気にもなるが、この書の最大の美点は、妻から見た夫であり、子どもたちの父親である龍之介という点からぶれがないことだと思えば、この素朴さに価値があるのだと言えるかもしれない。

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