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2008年10月14日 (火)

とみきち屋番頭の「秋も一箱古本市」体験記(1)

「とみきちの読書日記」を目当てに来られた方には申し訳ありませんが、今回とみきちが古本市に初参加いたしました関係で、番頭(=とみきちのツレ)も「とみきち屋(出店名)」の一員として、関係者の方々への御礼も含め、体験記を書かせていただくことになりました。自身のブログを持っておりませんので、ほかに手だてがございません。また、一部とみきちの書いたものと重なるかと思いますが、どうかご容赦ください。

主催者の方々、ボランティアの方々、大家さんをはじめ地元の方々、これまでに参加された店主の方々、そして足を運んでくださる多くのお客様によってつくられてきた一つの「文化」だと感じました。皆様のおかげで全くの素人の初参加にも関わらず、ほんとうに心地よく過ごさせていただきました。心より御礼申し上げます。

隣で店をかまえられた、もす文庫さん、あいうの本棚さん、がさつなところが多く随分ご迷惑をおかけしたはずなのに、温かく接してくださりありがとうございました。そして、何度も声をかけてくださり、丁寧なアドバイス、面白いお話をしてくださった四谷書房さん、たいへん心強かったです。さすがにプロの品揃えは違うなあとため息がもれ、趣味の域を出ない私どもの箱がこどものおもちゃ箱のように感じられました。探していた中野好夫『人間うらおもて』(ちくま文庫)を安価で購入でき嬉しかったです。山村修(狐)の単行本ほか、持っていなければ購入したい本がたくさんありました。

開店前に早くも箱をながめている方がいたばかりでなく、ほぼ絶え間なくお客様が訪れて来られ、驚きました。

若い頃より客として古本屋通いを続けて来たものの、売る側は初めてのこと。素人ゆえ、自分の蔵書の一部をしげしげと見られるのは恥ずかしいやら、緊張するやら。値段を確認された途端に本を戻されると、「う~ん、高かったか。いかんな」と消沈。本を手に取ってから食い入るように本を確かめられると、「ヤケが目立つのかな」「カバーにやや折れた跡があるためご不満かな・・」と不安が募ります。しかし一方では、自分も古本屋ではこんな感じで本を手にしているのだろうなと、自らの姿を重ね合わせ興味深く見ることもできました。

出品した本が1冊また1冊と売れていく都度、「ああ、自分と同じような興味を持っている方が思いのほか多いのだ」「たぶん難しいだろうなと思っていたおまえ(本)も引きとってもらえたのか」と嬉しくなります。なかでも思い入れの強い本については、探し求めている方の手に渡ってほしいと念じていたので、その願いが叶ったときは嬉しさも格別。そればかりか、「ずっと探していたのに手に入らなかったんですよ。今日は足を運んでよかった」と笑顔で声をかけていただけたとあれば、喜びもひとしおです。

番頭である私は、選書と値付け及び運搬が役目でしたから、お客様の対応は9割方店主とみきちに任せました。人見知りせず、相手に合わせて調子よく話せる人間が接することで、お客様も安心してゆっくり本をご覧になれるのではないかと思った次第です。実際、怪しげな番頭が店頭で待ちかまえていたら、売れ行きはもっと厳しかったのではないかと思えます。とはいえ、正直なところ、傍らあるいは少し離れた後ろから見ていて冷や汗をかくこともありましたし、「おいおい、そりゃあ押し売りだろ」という場面もございました(笑)。

青秋部の中村さん、石井さん、わずかな時間ではありましたが、お話しでき、嬉しく思いました。噂どおり、いや噂以上に素敵なお二人でした。これだけのイベントをとりまとめるご苦労は並大抵のものではないと思います。私どもの質問にも、お忙しいはずなのに驚くほど速やかに、また細やかなご返事をいただけましたので、楽しみながら出店準備を進めることができました。事務的なところは微塵もなく、初参加の不安を拭ってもらえるような、心温まるメッセージをありがとうございました。室生犀星に興味をお持ちとお伺いした石井さんには、犀星本をむりやり押しつけてしまって、恐縮いたしております。

古書ほうろうのお二方にも御礼申し上げます。私どもが集合30分前宗善寺に到着して、境内に荷物を運び入れてしまったにもかかわらず、すでに待機されていた女性の方にはやさしく声をかけていただき、気持ちを落ち着けることができました。男性の方からは、開店まもない頃、「テーマを設けていて、いいですねぇ」と過分なお褒めをいただき、「結果がどうあれ、一日楽しもう」と勇気が湧きました。当日お名前を尋ねるタイミングを逸し、イニシャルすら書くことができず申し訳ありません。近いうちに是非お店のほうへ伺わせていただきたいと思っています。(← 古書ほうろうのお二方、もしお読みになっていたら、是非コメントください~。お名前がわからないので、お名前を呼びかけることもできません。是非是非よろしくお願いいたします。by とみきち)

参加してほんとうによかった。貴重な体験ができたというのが偽らざる感想です。出店数の多い光源寺会場を見に行く余裕はなく、ライオンズガーデン谷中三崎坂会場を駆け足で回っただけですが、私どもと同会場のお店の方々も含め、皆さんの箱にはそれぞれの思いがいっぱいにつまっていて、独特の世界が拡がっていました。サブカルチャー、歴史、建築、デザイン等、私どもの守備範囲外の品揃えであっても、見るだけでわくわくしました。

慌てていたため、店名は覚えていないのですが、ライオンズガーデン谷中三崎坂の、私がナボコフの未読本を購入したお店の方には、約束通り当店にもお越しいただき、福原麟太郎『チャールズ・ラム伝』、吉田健一『東西文学論日本の現代文学』(いずれも講談社文芸文庫)をお持ち帰りいただきました。また、小さな本棚でお店を構えられていた方、5分足らずの立ち話でしたが、楽しかったです。棚の後ろに積んでいらっしゃった村上龍vs村上春樹『ウォーク・ドント・ラン』、持っているとはいえ手が伸びそうになりました。「こんな良心的なお値段で美本なのに、どうして棚出しされないのですか?」とお尋ねしたところ、「興味のありそうなお客様がいらっしゃったらそっと出したいからですよ」とにっこり答えられたので諦めました。「いいなあ、こういうポリシー」と思わずほっこり。でも、正直言えば欲しかった(笑)。手元にあるものは茶色に変色し、折り跡だらけなので。

マップを手に会場を回っていらっしゃる多くの方々の穏やかな表情に触れることができたことも、強く印象に残っています。どことなく満足気なお顔をされている方は、きっと素敵な出逢いがあったのでしょう。古本のみならず、各店が手作りの品やこだわりの品を用意して、出品したものを通じて多くの人たちとの交流が持てる。購入していただけたか否か、言葉を交わせたか否かではなく、あの何とも言えない空間を共有できる――それが大きな財産なのではないかと思えてなりません。

最終的には85冊、46,600円の売上げとなりました。正直、身に余る結果です。また参加できましたら(参加したいと思っています)本好きの方々に還元させていただきたいと思っております。

最後になってしまいましたが、わざわざ時間を割いてお越しくださったばかりか、お買い上げいただいた店主とみきちのご友人の方々にも御礼申し上げます。ありがとうございました。

次回は、とみきち屋が出品した本と、お客さまとのエピソードなどについて、とみきちとともにご紹介したいと思っております。

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コメント

coldsweats01いいなぁ、
毎年、続けていることの積み重ねが、
段々と素晴らしい花園に変貌していく感じですねぇ。
往復の新幹線のチケットが購入できるぐらいの、売上げ目標を設定して、bullettrain
一度、参加してみようかなぁと思いました。

投稿: 葉っぱ64 | 2008年10月14日 (火) 09:03

>葉っぱ64さん

>毎年、続けていることの積み重ねが、
段々と素晴らしい花園に変貌していく感じですねぇ。

本当にそういう感じです。
今年はお天気にも恵まれ、積み重ねられた
「文化」に乗っかって、楽しませていただいた、という印象でした。

>往復の新幹線のチケットが購入できるぐらいの、売上げ目標を設定して、
一度、参加してみようかなぁと思いました。

葉っぱさんなら、新幹線二往復もおできになりますよ。本当に楽しかったです。
ご遠方からの場合は、本の運搬の問題が大変でしょうけれど、同じ場所で箱を出せたら楽しいでしょうね~。お待ちしてます!

投稿: とみきち | 2008年10月14日 (火) 17:12

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