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2008年12月

2008年12月31日 (水)

2008年に読んだ本。

今年も読書時間は減少の一途でした。とはいえ、すばらしい本に出会えました。マイベスト3を選ぼうと思いましたが、3冊に絞りきれず、4冊になりました。(順不同) 奇しくもどれをとっても、人間の生き様が見事に描写されていて、読む者の心に突き刺さるような手応えのある作品でした。

『岡本太郎の見た日本』(赤坂憲雄)。私の読書日記の記事はこちらです

『荒地の恋』(ねじめ正一)。私の読書日記の記事はこちらです

『シズコさん』(佐野洋子) 私の読書日記の記事はこちらです

『寡黙なる巨人』(多田富雄) 私の読書日記の記事はこちらです

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2008年12月15日 (月)

『実録・外道の条件』 『真説・外道の潮騒』 町田康

「潮騒」は、「条件」の続編とみなしてよいでしょう。主人公は、作家・町田康と等身大のマーチダ・コウ。「条件」のほうでは、「二十年間に亘って、パンク歌手という、世の中をなめきったような、くそたわけな職業に従事しながらも辛うじて、世間の堅気の人と同様に米の飯が食えてきたのは、時間を守る、約束を守るという金看板のお陰なのであって」、というような自己分析をするタイプの人間である。エンターテインメントの世界では、下層に属しているという意識をもっている。

そのマーチダ・コウが、外道たちから仕事を依頼され、真摯に対応しても、誠実なふるまいをしても、あしげにされ、その誠意を踏みにじられた、としか思えぬような仕打ちを受け、ぼろぼろの心を抱えて、それでもぶち切れることなく、場合によっては向こうが悪いのに、自分の態度を反省してしまったりする、というお話なのである。

外道たちによって繰り広げられる一つひとつのあっけにとられるような振る舞い、物言いに、心が萎えそうになりながらも、そのたびにマーチダ・コウは、さまざまな角度から自分の心を振り返り、物事の筋道はそうじゃなくてこうなんじゃないか、と思いながらも、そのことを相手に言えず、鬱屈するのである。

こうしたディスコミニケーションの面白さは全編を覆っている。なにしろ、敵は「外道」なのだから。外道はほとんどギョーカイ人であります。で、この本のタイトルには「実録」という文字が堂々と飾られているのでありまして、あー、本当にあったことなのだろうなあ。心から「外道」と思わされるような経験をたくさんしてきたのだろうなあと、マーチダ・コウならぬ町田康に思い切り同情しつつ、そのディスコミニケーションのいかにもありそうなことに驚き、かつ、笑い疲れながら読み進むのでありました。

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