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2009年5月 8日 (金)

とみきち屋 裏事情(4)(5)

◆裏事情(4) 「とみきち用の本棚」なのに……◆

「とみきち用の本棚」と番頭が決めてくれている本棚があります。片開きのガラス入りの戸がついている、飾り戸棚のような細い棚です。そこに入っているのは、例えば鈴木道彦訳の『失われた時を求めて』セット、好きな絵本たち、『プチ・ニコラ』シリーズ、幼い頃に読んだ童話いろいろ、そして、堀田善衛の『ゴヤ』、展覧会のカタログなど、並べておくとちょっと楽しくなるような、きれいな本たちが入っています。本の前には可愛い小物なども並べてあって、わが家では唯一、ちょっと“乙女チック”な棚です(笑)。

でも、その本棚の中身さえ、私の知らないうちに変わっていきます。単行本だったものがいつの間にか同じ内容の文庫本に変身します。確かに私も読んだし、内容も好きではあるけれど、ビジュアル的にその棚に入れるにふさわしくないような無骨な本が入っていたりします。

最近に至っては、その戸棚の前には段ボールが積み上がっているので、持ち主であるはずの私は扉を開けることができないばかりか、その可愛い外見をおがむことすらできません。にっくき段ボール!!

実をいうと、その戸棚のみならず、すべての書棚の前に段ボールが並べられ、しかも何段にも積み重ねられているのです。書棚の下半分の本は見えませんし、簡単には出せません。ですから、わが家はいつだって「お引っ越しですか?」状態です。書棚に入った本を眺める喜びも半減です。

たとえ古本市で一箱、二箱売れたとしても、その景色に変化は見えません。長年おつきあいしてもらっている地元の古本屋さん、ブックオフなどに、毎月、段ボールで売りに行っても、減っていく様子は一向にありません。

◆裏事情(5) とみきち屋のこれから◆

もう何年ものあいだ、「片付ける」と言いつつ、全く片付けない番頭の部屋は、足の踏み場もありません。本以外のものもたくさん落ちています。信じられないカオスです。段ボールに入っているとはいえ、本はいちおう何らかの基準に従って整理されているらしいし、2万冊近い本のありかを把握しているらしいのに、何故、その他のものが整理できないのか、まったくもって理解不能です。

そのカオスは自室ばかりでなく、公共の場(リビング、ダイニング、廊下)にも遠慮なく浸出してきています。 「古本市に出たい」と番頭が言ったとき、「協力はするけれど、今度こそとにかく家を片付けてね」と言ったら、「もちろんだよ!!」と明るい声が返ってきました。

昨秋も、そしてつい先日の古本市でも、幸か不幸かとみきち屋の本はよく売れて、賞までいただいてしまいました。番頭のなかでは、段ボールに入った本たちが“市民権”を得てしまったのか、積み上げられた段ボールたちが心なしか威張った顔をしています。あの約束はいずこ?

どこかの古本市にもしも番頭が一人で出店していたら、それは、彼が約束を果たしていないのだ、と思ってください。

(ひとまず終わり)

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