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2009年5月 7日 (木)

とみきち屋 裏事情(1)(2)(3)

2009年5月9日追記  番頭がようやくお客さまレポートの前半を書きました。お手数ですがこちらをご覧くださいませ。また、その記事の一つ前には、黒岩比佐子さんから賞をいただいた報告もございます。]

「一箱古本市」でのお客さまレポートは番頭が書くことになっているのですが、疲れ果ててしまったのか、なかなか書く気配がありません。たくさんのエピソードがあるので、私が書こうかとも思いましたが、この間隙をぬって、ひとつ、とみきち屋裏事情を書いてしまいます。

まあ、聞いてくださいな。

◆裏事情(1) とみきち屋の店番◆

とみきち屋の選書は、番頭である風太郎が100%担当しています。箱の中には、店主の私が読んだことのない本が揃っています。というか、うちにあったことすら知らない本が相当数あります。なので、私一人が店番をしているときは、お客さまの質問に答えられないことがたびたびあり、物足りない思いをされた方もおられるかと思います。勉強不足で、本当にごめんなさい。

POP書きは私がやっています、中身は番頭が考えますが。POPをつけている商品は、当然のことながら、目玉商品だったり、とみきち屋的お勧め商品だったりします。売れたあとも、何があったのかお知らせする意味もあって、そのPOPに「sold」とか、「売れちゃいました、ごめんなさい」などと書いて、最後のほうまで飾っておくことがあります。それを見て、「○○はやっぱり売れちゃったんですか~」などと話しかけてくださるお客さまがいらっしゃいます。

そんなときに番頭が不在だと、とても困ります。商品があれば、気持ちよく買っていただこうと思ってなんとか頑張りますが、既に売れてしまった場合は、その本の価値や内容、あるいは同じ著者の他の作品等についてお話しすることもできず、せっかくお声をかけてくださったお客さまに対して申し訳ない気持ちになります。かといって、そういう好みの方に、「例えば△△はお読みになりましたか」と、話を展開することもできませんし。

私も本は好きですよ。本を読むことが好きですし、本棚に並んだ本を眺めるのも好きです。本を読んでいる時間も好きです。本に囲まれた生活も大好きです。

でも、どの文庫から出ている何という作品が絶版だとか、最近それが別の文庫で復刊したとか、○○という作品の下巻はなかなか見つからず価値があるのだとか、そういうことには全く疎いのです。また、読む本は、種類もジャンルも限られています。番頭に聞いてみないと、家にあるのかないのかわからないので、自分で本を買うことはほとんどありません。

ですので、古本市ではなるべく番頭が店番をする時間を長くしよう、と思っています。

◆裏事情(2) とみきち屋の日常会話◆

うちでは、こんな会話は日常茶飯事です。

 と 「このあいだ○○文庫から出た△△△って面白いかなあ」
 番 「あっ、買ってあるよ。読む?」

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 と 「さっきネットで××の◆◆◆が面白いって書いてあったけど、どうかなあ」
 番 「買って読んだけど、つまらなかったから売っちゃった」

知らないうちに、いろいろなことが進行しています。

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 番 「とみきち、今、何読んでる?」
 と 「今は○○の新書」
 番 「最近出た××を買ってみたけど読んでみない?」
 と 「うん、読んでみる」
    数日後……
 と 「こないだの××、なんか面白くないんだけど」
 番 「あ、やっぱり? じゃ、もうやめていいよ。○○さん(なじみの古書店)に持っていったら悪いから、ブックオフに売っちゃおう」
    ……私はリトマス試験紙か……。

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 と 「仕事で今度、△△△に関する情報が欲しいんだけど、参考になる本、何かある?」
 番 「適当に取りそろえておくよ」
   一時間後……
 番 「△△△について、一般的な知識を得るならこれ。こっちは、少し偏っているけど、読んでおいて損はない。一番多く読まれているのがこれ。これを読んでいなければもぐり。ひととおり探しておいたよ」

人文系に限りますが、このように助かることもあるのですけどね……。

◆裏事情(3) 増殖する段ボール◆

さてさて、番頭は、いわゆる「片付けのできない」人です。でも、不思議なことに、家にある本のありかだけはほとんど把握しています。家にある本はまず、何本かの書棚に前後二列にぎっしりと詰まっています。書棚に入っているのは、二人の好みが一致している本、何度も読み返したい本、常に見えるところに置いておきたい本が多いです。

しかし、狭いわが家の壁面面積は限られています。当然、書棚に入りきらない本があふれます。あふれた本たちは段ボールに入っています。この段ボールが曲者です。入れっぱなしではなく、常に何らかの入れ替えがなされている様子です。段ボールごと動かしたりもしているようです。そういう作業のときは、番頭は腰にサポーターをしています。せっせ、せっせと動いて嬉しそうです。疲れることもないようです。調子が悪かろうが何だろうが、書店に行けば(新刊書店でも古書店でも)何時間いても平気らしいです。でも、本にかかわっていない時間に何かを頼んでも、今日は調子が悪いから無理だと弱々しく答えたり、やるべきことに着手できずに翌日送りにしたり、今はその気にならない、などと言ってサボります。

"殊にお気に入り"の絶版本については、番頭は最低2冊、あるいは3冊所有しています。より正確に言えば、所有しているようです。1冊は、書き込みをしたりページを折ったりしながら読む用(本棚)、1冊は、大切に保管しておく用(段ボール)、1冊は、誰かにプレゼントする用(段ボール)、ということで3冊なのです。

昨秋から古本市に出店するようになって、その3冊がどうやら、4冊、5冊になり始めたようなのです。一々私に報告しないので実態はよくわからないのですが、出品本を見て、「へー、この本、出しちゃっていいの?」と言うと、それはそれは嬉しそうに「きれいなのがあと2冊あるから」と答えます。

「古本市のため」というある種「公式な」理由ができたせいか、本を買う勢いは増しているようです。ブックオフではなくて、普通の古書店などでも買ってきます。余りに嬉しかったときは「信じられない。○○書店でふっと棚を見たら、目を疑ったよ。何があったと思う?」とか言います。そう言われても、そもそも何を持っているのかも知りませんから、私に当てられようはずがありません。

いろいろなテーマを考えているらしいので、買ったからといって、すぐに古本市に出されるとは限りません。ひたすら段ボールの中に生き続ける可能性があります。たちが悪いのは、新刊も買うし、既刊の未所有の本も買うし、所有している本も買う、ということです。売るためだけに買うのではない、というところがミソです。段ボールに入っている本は、私にとっては本ではありません。ただの荷物です。

この先、わが家はどうなっていくのでしょうか。

(つづく)

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