« 2012年12月 | トップページ | 2013年4月 »

2013年2月

2013年2月 9日 (土)

『ことり』 小川洋子

良質な小説の絶対に外せない条件として、読者が自分を重ね合わせ、独自の読み方ができること、私はそれを挙げたい。世の中に出た時点で、作品は読者のものになる。これが正しいといった読み方はない。読者がそれぞれに「この小説はこういう意味だ」「この主人公はこういう人だ」と手前勝手に受け止める。現代は「個人がメディアを持つ時代」だから、それぞれの受け止めをこれまた手前勝手に発信する。「このように読んでほしい」と思って書いている作家がいるとしたら受難の時代かもしれない。しかし、マスメディアの力は、こと文化の分野に限っては、本当に本当に地に落ちた感がある。個人の発信、個人的な趣味、好き嫌いを、何の利害関係もなく発信する個人が増えてくると、プロの発信も、個人の発信も、マスメディアによる発信も、ある意味同レベルに並んでしまう。

続きを読む "『ことり』 小川洋子"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年12月 | トップページ | 2013年4月 »